「弁護士費用特約」と“弁護士事務所の実態”を徹底解説!

今回は、弁護士事務所の実態と、交通事故被害者の皆様が知っておくべき「弁護士費用特約」について、徹底的に解説していきます。

ドラマなどの影響で、「弁護士」と聞くと、被害者のために損得関係なく尽くすというイメージがあるかもしれません。しかし、結論から言うと、そのような弁護士事務所はほとんどないと考えていいでしょう。

もちろん、真摯に対応してくれる弁護士もたくさんいます。しかし、残念ながらそうでない弁護士も多いです。

泣き寝入りしないために「弁護士費用特約」を有効に活用したいですが、知識がないと逆効果になりかねません。

そこでこの記事では、弁護士費用特約だけでなく弁護士事務所の実態を網羅的に解説していきます。

【交通事故】弁護士費用特約の内容と使い方を解説

弁護士事務所の仕組み

弁護士に依頼する前に、まず弁護士報酬の仕組みを知っておくことが重要です。弁護士報酬は、主に以下の2つで構成されています。

  • 着手金:事件の着手時に支払う費用で、15~20万円程度が目安となります。
  • 成功報酬:事件が成功した場合に、得られた経済的利益に応じて支払う費用で、補償額の20%程度が目安です。

つまり、弁護士報酬は被害者の示談金によって変動するということです。弁護士から見ると、同じ報酬を得るなら、少ない労力で済む方がいいと考える弁護士もいます。

そのため“効率”を優先するあまり、被害者への対応が不十分になってしまう弁護士もいるので注意が必要です。

弁護士費用特約の概要

弁護士費用特約とは、自動車保険などに付帯できる特約の一つで、交通事故の被害者が弁護士に依頼する際の費用を、保険会社が一定の範囲内で負担してくれるというものです。

弁護士費用特約のメリット

弁護士費用特約には、主に以下のようなメリットがあります。

  • 弁護士への相談・依頼がしやすくなる:弁護士費用を気にせずに、弁護士に相談・依頼ができるため、被害者は弁護士に依頼することへの心理的なハードルが下がります。
  • 保険会社との交渉を弁護士に任せられる:弁護士に依頼することで、弁護士が被害者の代理人として、保険会社との交渉を全て行ってくれます。これにより、被害者は精神的なストレスから解放され、治療に専念することができます。
  • 慰謝料・休業損害が増額する可能性がある弁護士が介入することで、保険会社は「自賠責保険基準」ではなく、「弁護士基準(裁判基準)」で慰謝料や休業損害を計算する可能性が高くなります。弁護士基準は、過去の裁判例に基づいた、より妥当な補償額を算出する基準であるため、弁護士が介入することで、被害者が受け取れる補償額が増える可能性が非常に高いです。

弁護士費用特約の適用範囲

弁護士費用特約は、一般的に、以下の範囲で適用されます。

  • 補償額の上限:弁護士費用300万円まで
  • 対象者
    • 契約者ご本人
    • 同乗者
    • ご家族
  • 対象となる事故
    • 契約している車に乗車中の事故
    • 歩行中や自転車乗車中の事故

ただし、保険会社によって適用範囲が異なる場合があるため、詳細はご自身の保険会社に確認してください。

弁護士費用特約を利用しても保険等級は下がらない

弁護士費用特約を利用しても、基本的に保険の等級は下がらないため、保険料が上がることはありません。

そのため、弁護士費用特約を使うことによる、実質的なデメリットはほとんどないと言えます。

 弁護士費用特約を使う上での注意点・よくある疑問

弁護士費用特約を利用するにあたって、知っておくべき注意点や、よくある疑問について解説していきます。

弁護士依頼= 裁判を前提にする?

弁護士費用特約を使う場合でも、必ずしも裁判になるわけではありません。弁護士が保険会社と交渉することで、示談で解決することがほとんどです。

裁判になるのは、過失割合などで保険会社との合意が全く得られない場合や、後遺障害の慰謝料の増額を強く希望する場合など、ごく一部のケースに限られます。

保険会社が紹介する弁護士事務所でなければダメ?

弁護士事務所の選び方は、被害者の自由です。保険会社から弁護士事務所を紹介されることもありますが、ご自身で自由に弁護士事務所を選ぶことができます。

医療機関選びと同じだと考えてください。

「弁護士費用特約は使えない」と保険会社に言われた場合

保険会社が、「弁護士費用特約は使えない」と嘘を言うケースも報告されています。これは、保険会社が弁護士費用を負担したくないために、弁護士費用特約の利用を妨げようとする行為です。

たとえ自分側の保険会社であってもウソをつくケースはよくあります。

このような場合は、まず弁護士にご相談いただき、弁護士から保険会社に「なぜ弁護士費用特約が使えないのか」を問い合わせてもらうようにしましょう。

弁護士費用が300万円を超えたらどうなる?

弁護士費用が300万円を超えた場合、その差額は被害者の自己負担となります。

しかし、弁護士費用が300万円を超えるケースは非常に稀です。後遺障害の等級が高い事件で、裁判まで行ったような場合に限られると考えて良いでしょう。

むち打ちなどの、骨に異常がない怪我の場合は、裁判をしても弁護士費用が300万円を超えることはまずありませんので、安心して弁護士費用特約を利用してください。

むしろ、弁護士費用特約の上限300万円を超える案件はそれだけ慰謝料が多いことになるので、気にする必要はありません。

保険会社が「弁護士費用300万円を超えると自費になりますよ?」と言ってくる場合、弁護士費用特約を使って欲しくないからこのようなことを言っていると考えていいです。

弁護士事務所の実態

整骨院や整形外科の先生の中にも、患者さんへの対応が丁寧な先生もいれば、そうでない先生もいるように、弁護士にも様々なタイプがいらっしゃいます。

「ドラマに出てくるような、熱心に被害者のために奔走してくれる弁護士ばかりではない」ということを、まずご理解しておく必要があります。

【交通事故】弁護士事務所の実態を解説

弁護士にとって弁護士費用特約は“美味しい案件”

弁護士もビジネスとして活動しているため、効率よく利益を出すことを考えるのは当然のことです。

特に、弁護士費用特約が利用できる場合、弁護士報酬は保険会社から支払われるため、弁護士にとっては一定の報酬が確約されることになります。

こんな対応をする弁護士には要注意!

弁護士を選ぶ際には、その対応を注意深く見極めることが重要です。以下のような対応をする弁護士には、注意が必要です。

弁護士を選ぶにあたって、どのような点に注意すればいいのでしょうか?具体的な例を挙げて解説していきます。

すぐに保険会社と交渉をしない

「今、弁護士を入れると保険会社が警戒するので、示談のタイミングで依頼してください」と言う弁護士がいます。

これは、「途中の交渉が面倒なので、それまではご自身で頑張ってください」という意味で、弁護士に依頼するメリットがありません。

弁護士報酬は、委任期間の長さではなく、賠償額によって決まります。そのため、弁護士にとっては、最初から委任を受けるよりも、示談交渉の段階で委任を受けた方が、少ない労力で効率よく報酬を稼げる場合があります。

ちなみに、弁護士が介入したからといって、保険会社が特に警戒するということはまずありません。

整骨院への通院を辞めさせる

「後遺障害の認定には、病院への通院が重要なので、整骨院への通院はやめましょう」と言う弁護士もいます。

後遺障害が認定されると、慰謝料が増額し、弁護士報酬も増えます。そのため、このようなアドバイスをする弁護士もいますが、被害者の回復よりも、弁護士の利益を優先していると考えていいです。

後遺障害が認定されれば弁護士にとってはラッキーですが、認定されなくても弁護士には特にデメリットはありません。

弁護士に言われるがままに、痛みを我慢して整骨院への通院を止め、病院のみの通院にすると、かえって症状の回復が遅れる可能性もあります。

後遺障害認定されなかった場合、弁護士は「認定されませんでした〜」くらいの対応で終わります。被害者のカラダを気にしているのであれば「整形外科だけにしましょう」と言う提案はありえません。

トラブルの詳細が把握できていない段階で具体的な示談金を言う

「この案件なら、〇〇円の補償額が見込めます」「後遺障害認定狙えます」と言う弁護士もいますが、とにかく依頼を取りたいだけと考えていいです。

本来、トラブルやケガ診断内容を知らない状況で安易な予想を言えません。むしろ、「〜〜のリスクがあります」という、ネガティブ要素も正直に教えてくれる弁護士の方が信頼できます。

例えば、手術をするのにリスクを伝えない医師を信頼しますか?という内容に近いです。

弁護士に依頼後に連絡がなかなか繋がらない

いつ電話をしても、担当の弁護士に繋がらない場合もあります。効率よく案件を処理したいため、弁護士が直接相談に乗る時間を取らないことがあり、事務員に対応させることが多い弁護士にも注意が必要です。

弁護士を選ぶ際にはこれらの点に注意して、最適な弁護士 を見つけるようにしましょう。

安心して任せられる弁護士とは?

では、どのような弁護士なら安心して任せられるのでしょうか?

安心して任せられる弁護士の特徴を以下で解説していきます。

  • リスクも含めて、丁寧に説明してくれる
    • 交通事故の補償は、全てが被害者の思い通りになるとは限りません。
    • 「上手くいくと〇〇になりますが、〇〇という結果になる可能性もあります」と、リスクを明確に説明してくれる弁護士は、誠実と言えるでしょう。
    • 弁護士は、依頼するメリットだけでなく、デメリットやリスクについても、きちんと説明する義務があります。
  • すぐに連絡をくれる
    • 被害者が相談の電話をした際に、弁護士が不在の場合でも、数日以内に折り返しの連絡をくれるかどうかは、重要な判断材料になります。
    • 「また連絡します」と言って、そのまま放置するような弁護士には注意が必要です。
  • 賠償額が少ない事故でも、親身に対応してくれる
    • 弁護士報酬が少ないと考えられるような案件でも、弁護士が親身に対応してくれるかどうかは、弁護士の姿勢を見極める上で重要です。

過失割合の交渉や治療延長交渉を頑張っても弁護士報酬が大きくならないことが多いです。こういった被害者の意向をすぐに交渉してくれる弁護士を選ぶことが重要です。

まとめ

交通事故被害者の皆様は、弁護士に依頼することで、様々なメリットを享受できます。

弁護士費用特約に加入している場合は、弁護士費用を気にせずに、積極的に弁護士に相談・依頼することをおすすめします。

ただし、弁護士といっても、全ての弁護士が誠心誠意対応してくれるとは限りません。弁護士事務所を選ぶ際には、慎重になる必要があります。

Shin整骨院にご相談いただければ弁護士紹介も可能ですので、治療以外のこともサポートさせていただきます。

施術中・カウンセリング中は電話に出る事ができません。その際は必ず折り返しさせていただきます。